台湾旅行を計画するうえで、現地通貨の知識は欠かせません。台湾では「台湾ドル」と呼ばれる通貨が使用されており、旅行中の食事や買い物、交通機関の利用において必ず使うことになります。日本円からの両替方法や、通貨の呼び方に迷う方も多いため、ここでは台湾ドルの基本情報や注意点をわかりやすくご紹介します。
台湾の通貨「台湾ドル」

台湾で使われている正式な通貨は「ニュー台湾ドル(新台湾元)」ですが、日本では一般的に「台湾ドル」と呼ばれることが多く、略号は「NT$」または「TWD」です。
1台湾ドルは約4.6円前後で、100元でおよそ460円となります(2025年5月時点)。台湾の旅行中に現地の価格感覚をつかむためにも、為替レートを把握しておくと便利です。

台湾の紙幣と硬貨の種類
台湾では紙幣と硬貨がともに流通しており、紙幣は100元・200元・500元・1000元・2000元の5種類、硬貨は1元・5元・10元・20元・50元の5種類があります。もっとも日常的によく使われるのは100元と1000元の紙幣、10元と50元の硬貨です。
200元と2000元の紙幣はあまり見かけず、店によっては受け取りを拒否される場合もあるため、両替の際は100元や500元を多めにもらうのがおすすめです。また、日本のように「おつりが細かく返ってくる」文化もあるため、少額紙幣や硬貨も活用しやすくなっています。
台湾ドルと台湾元の違い
台湾の通貨単位について、日本では「台湾ドル」と表現されることが一般的ですが、現地では「元(ユェン)」という呼び方が正式です。つまり「1台湾ドル=1台湾元」と考えて問題ありません。
両者に金額的な違いはなく、単に呼び方が異なるだけです。日本語での案内や旅行会社のパンフレットでは「台湾ドル」と記載されることが多く、現地のレシートや価格表示では「元」あるいは「NT$」と書かれています。観光中に混乱しないためにも、「台湾ドル=元=NT$」と覚えておくとスムーズに理解できます。
「台湾ドル」のレート

2025年5月現在、1台湾ドル(NT$)は約4.87円で推移しています。このレートは、過去半年間の平均である約4.63円と比較してやや高めの水準です。特に5月5日には、1台湾ドル=4.93円と今年の最高値を記録しました。一方、4月21日には1台湾ドル=4.34円と、最安値を記録しています。
このように、為替レートは日々変動しており、旅行前には最新のレートを確認することが重要です。台湾旅行を計画する際は、為替レートの動向をチェックし、適切なタイミングで両替を行うことで、旅費を節約することができます。
台湾のキャッシュレス事情

台湾政府は、2025年までにキャッシュレス決済の普及率を90%に引き上げる目標を掲げ、積極的な取り組みを進めています。
その結果、都市部を中心にキャッシュレス決済の利用が広がり、旅行者にとっても利便性が向上しています。ただし、地方や小規模店舗では現金のみの対応が多いため、現金とキャッシュレスの併用が望ましいでしょう。
台湾でのおもな決済方法
台湾で利用できるキャッシュレス決済は多岐にわたります。クレジットカードはVisa、Mastercard、JCBが広く使え、デパートやホテル、チェーンレストランなどで利用可能です。モバイル決済も普及しており、LINE Pay、Apple Pay、Google Pay、そして台湾独自のTaiwan Payなどが導入されています。
特にLINE Payは日本人にも使いやすく、コンビニや一部のレストランでも利用できます。また、交通系ICカードの「悠遊卡(ヨウヨウカー)」や「一卡通(イーカートン)」は、地下鉄やバスの乗車時だけでなく、コンビニや観光施設でも使える便利な決済手段として旅行者にも人気です。
キャッシュレスが使える場所、使えない場所
台湾では都市部のほとんどの場所でキャッシュレス決済が可能です。ショッピングモールや百貨店、大手チェーン店、ホテル、MRT(地下鉄)などの公共交通機関ではクレジットカードやモバイル決済が一般的に使えます。コンビニでもICカードやスマホ決済が対応しており、スムーズな支払いが可能です。
一方、夜市の屋台やローカル食堂、小規模な個人商店などでは現金のみの対応が多く、キャッシュレスが使えない場面も少なくありません。特に観光地から離れた地域では、事前に現金を準備しておくと安心です。
台湾のチップ事情とキャッシュレスでの対応
台湾では基本的にチップの習慣がなく、レストランやタクシー、ホテルでもチップを渡す必要はほとんどありません。料金にサービス料が含まれていることが多く、追加で支払うことは求められません。ただし、高級ホテルのポーターや特別なサービスを受けた場合など、感謝の気持ちとしてNT$50〜100程度のチップを手渡しすることもあります。
こうしたチップはキャッシュレスでは対応できないため、少額の現金を手元に用意しておくと良いでしょう。ツアーガイドなどに渡す場合も現金が一般的です。チップが不要な文化のため、気軽に旅行を楽しめるのも台湾の魅力のひとつです。
台湾の現金事情

台湾ではキャッシュレス化が進んでいる一方で、観光時には現金が欠かせない場面も多くあります。特に夜市や屋台、個人経営の店、タクシー利用時、チップを渡す際などは現金が主流です。ここでは、台湾旅行中に現金が必要となる具体的な場面を紹介します。
夜市や屋台
台湾の夜市や屋台グルメは現金払いが主流です。士林夜市や寧夏夜市、饒河街夜市などの人気スポットでは、1品あたり50〜100元(約250〜500円)で様々な料理が楽しめますが、屋台の多くは電子決済に対応していません。
細かい紙幣や硬貨が必要になるため、100元札や50元硬貨を多めに持っておくと便利です。1晩あたり500〜1,000元(約2,500〜5,000円)程度の現金があれば、食べ歩きや買い物を十分に楽しめます。


公共交通機関やタクシー
台北MRTやバスでは悠遊カードを使えばキャッシュレスで乗車できますが、カードを持っていない場合やチャージが不足していると現金が必要です。MRTの1区間の運賃は20〜60元(約100〜300円)程度です。
また、タクシーも現金払いが一般的で、カード非対応の車両も多く見られます。市内移動での平均運賃は150〜300元(約750〜1,500円)ほど、空港から市内までは1,200元(約6,000円)前後を見込んでおくと良いでしょう。

個人店
九份や淡水、台南などに多い個人経営の飲食店や土産物店では、現金払いが基本です。小規模なカフェや雑貨屋ではクレジットカードが使えないことが多く、100〜300元(約500〜1,500円)程度の商品を購入する際にも現金が求められます。
特に地方ではATMが少ないこともあり、あらかじめ現金を用意しておくのが安心です。1日あたり1,000元(約5,000円)前後の現金を携帯しておくと不便を感じにくくなります。


チップ
台湾ではチップ文化は一般的ではありませんが、マッサージ店や高級レストランなどではサービスへの感謝を込めて渡すことがあります。たとえば足つぼマッサージの施術後に50〜100元(約250〜500円)をチップとして渡すことが多く、ホテルで荷物を運んでもらった場合なども同様です。
頻繁に必要ではありませんが、200〜300元(約1,000〜1,500円)ほどを小銭で持っておくと、必要な場面でスマートに対応できます。
台湾観光で1日に使う現金の目安
台湾旅行ではキャッシュレス対応が進んでいますが、夜市や屋台、個人商店では現金が必要な場面が多くあります。快適に観光を楽しむためには、あらかじめ1日分の現金を準備しておくのが安心です。以下は、一人当たりが1日に使用する現金の目安です。
- 食費:500〜800元(約2,500〜4,000円)
朝食:50〜100元(約250〜500円)
昼食:100〜150元(約500〜750円)
夕食:200〜300元(約1,000〜1,500円)
夜市の食べ歩きなど:最大300元(約1,500円) - 交通費:100〜300元(約500〜1,500円)
MRTやバス:1回20〜60元(約100〜300円)
タクシー:1回150〜300元(約750〜1,500円) - 入場料・アクティビティ代:200〜500元(約1,000〜2,500円)
- お土産・雑貨代:200〜500元(約1,000〜2,500円)
合計目安:1,000〜2,000元(約5,000〜10,000円)
高級な食事や長距離移動、特別なアクティビティを予定している場合は、さらにプラス500〜1,000元(約2,500〜5,000円)ほど多めに準備しておくと安心です。
台湾での両替方法と現金を確保する方法

台湾旅行中には、観光地やローカルフードを楽しむためにある程度の現金が必要になります。特に夜市やローカル店舗では現金払いが主流のため、現地での両替方法やATMの利用方法を知っておくと安心です。ここでは、効率的に現金を準備するための方法をご紹介します。

両替ができる場所
台湾で日本円を台湾ドルに両替する場合、空港・銀行・両替所・一部のホテルが主な選択肢となります。もっとも便利なのは桃園国際空港や松山空港にある銀行の両替カウンターで、24時間営業の窓口もあり、到着後すぐに現金を手にできます。
市内の銀行でも両替は可能ですが、営業時間が平日の9時から15時30分と限られているため、タイミングに注意が必要です。また、ホテルのフロントでの両替はレートがやや不利になる傾向があります。なるべく空港や大手銀行を利用するのがおすすめです。

クレジットカード・デビットカードを使ってATMで現金を引出し
現地で現金を確保するもう一つの便利な方法が、国際ブランド付きのクレジットカードやデビットカードを使ってATMから引き出す方法です。台湾の主要都市では、空港やコンビニ、地下鉄の駅構内などに設置されたATMで日本のカードも広く利用できます。
Visa、Mastercard、JCB対応のATMが多く、画面表示も日本語対応のものが増えており、操作も簡単です。1回あたりの引き出し限度額はNT$20,000(約92,000円)前後が一般的で、手数料はカード会社やATMの設置場所によって異なります。為替レートも現地両替所より有利なことがあるため、必要な金額を都度引き出すスタイルも安心です。
台湾観光での現金持ち歩きの注意点
台湾は治安の良い国ですが、観光中は現金の管理に注意が必要です。夜市や混雑した場所ではスリ被害のリスクもあるため、多額の現金を一度に持ち歩かず、必要な分だけを携帯するのが基本です。また、財布や貴重品は目立たない場所に保管し、複数に分けて管理することで、万が一の紛失や盗難時の被害を最小限に抑えることができます。

持ち歩く金額は必要最小限に
台湾ではクレジットカードや電子マネーが使える場所も増えていますが、現金が必要な場面も多いため、適切な金額を見極めて持ち歩くことが大切です。
目安としては、1日の観光・食事・移動に必要な1,000〜2,000元(約5,000〜10,000円)程度を用意し、それ以上の金額はホテルの金庫などに保管しましょう。余計な現金を持たないことで、紛失や盗難のリスクを抑えることができます。
複数の場所に分けて保管
現金を一つの財布にまとめて持ち歩くのは危険です。財布のほかに小銭入れやパスケース、衣服の内ポケットなど、複数の場所に現金を分散させることで、盗難や紛失時のダメージを軽減できます。
例えば財布には1,000元、小銭入れには500元など、使い方に応じて分けておくと便利です。さらに、クレジットカードや悠遊カードも一緒にせず別々に持つことで、トラブル時のリスク分散につながります。
夜間や人混みに注意
夜市や駅構内など人が多く集まる場所では、財布を出すタイミングに気をつけましょう。特に夜間や混雑時はスリのリスクが高まり、不用意に現金を見せると狙われやすくなります。
あらかじめ支払いに使う分の紙幣を取り出しやすい場所に準備しておくことで、安全かつスムーズな会計が可能になります。また、前掛けのバッグやファスナー付きポケットなどを活用して、貴重品を常に自分の目の届く位置で管理することが重要です。
まとめ
台湾旅行ではキャッシュレスが進んでいる一方で、夜市やローカルショップでは現金が重宝されます。観光の合間に両替所を探す手間を減らすためにも、空港到着時の両替やATMでの引き出しを活用し、効率よく現金を確保することが快適な旅のポイントです。
都市と地方、現金とキャッシュレスの使い分けを知っておけば、台湾旅行がより充実したものになるでしょう。