台湾はアジアでもトップクラスの治安の良さを誇る旅行先であり、台北をはじめとする都市部でも大きな犯罪に巻き込まれるリスクは比較的低いとされています。
ただし、観光客が集まるエリアや夜間の繁華街では、スリやぼったくりといった軽犯罪が発生することもあります。安心して台湾旅行を楽しむためには、現地の治安状況を事前に把握しておくことが大切です。
台湾・台北の治安概要

台北市は、交通インフラの整備や警察の巡回が充実しており、アジアの大都市の中でも特に治安の良い都市として知られています。2023年の統計によると、重大な犯罪件数は減少傾向にあり、観光客が巻き込まれる事件はまれです。
特に台北MRT(地下鉄)内や観光名所周辺では、防犯カメラの設置や警備員の常駐が徹底されており、安全性が高いと評価されています。一方で、人混みの中でのスリや、深夜営業の飲食店周辺での酔客によるトラブルなど、注意が必要なケースもあります。

台湾の治安が良い理由

台湾はアジアの中でも治安の良さが際立っており、観光客が安心して滞在できる国として高く評価されています。その背景には、法制度の整備や警察の活動、そして国民のマナーや人柄など、社会全体のバランスの良さがあります。ここでは、台湾の治安が良いとされる主な理由を具体的に解説します。
厳しい法律と遵守意識が高い
台湾では刑法や治安管理に関する法律が比較的厳しく、違反した際の罰則も明確に規定されています。たとえば、薬物犯罪や性犯罪、暴力事件には厳罰が科されるため、犯罪の抑止力が高まっています。
また、一般市民の法令遵守意識も強く、公共の場でのマナーを守る人が多いのも特徴です。夜市や駅などでも列に並ぶ文化が定着しており、混雑時でも秩序が保たれていることが安心感につながっています。日常の小さな行動にも「ルールを守る」という意識が根づいています。
警察の存在感が高い
台湾では、交番や警察署が市街地に数多く設置されており、警察官の巡回や見回りが日常的に行われています。主要な観光地や駅周辺では制服警官が常に目につき、トラブルの抑止に貢献しています。
治安対策としてのパトロールカーの巡回も頻繁で、万が一の際にも迅速に対応できる体制が整っています。さらに、観光案内を兼ねた警察官が配備されている地域もあり、外国人観光客にとっても頼れる存在となっています。このように警察が市民の身近な存在であることが、治安の良さに直結しています。
親切な人が多い
台湾では「親切でフレンドリーな国民性」が広く知られており、これも治安の良さを支える要因の一つです。道に迷っている観光客に声をかけて助ける、落とし物を拾って届けるといった行動がごく自然に見られます。
また、トラブルや困りごとがあった際にも、近くの人がすぐに手を差し伸べてくれることが多く、安心して旅行ができる空気が生まれています。地域社会での見守りの意識も高く、不審な行動に対して敏感に反応する傾向があるため、犯罪が起こりにくい環境が保たれています。
台湾・台北で治安が良いとされる要注意エリア・スポット
台北は全体的に治安が良く、観光客が安心して滞在できる都市です。特に治安の面で信頼されている観光スポットは、交通の便が良く、観光施設や警備体制が整っていることが共通点です。以下に、台北市内で治安が良く安心して楽しめるエリア・スポットを紹介します。
台北101周辺(信義区)

台北のランドマークである台北101周辺は、高級ホテルやショッピングモール、オフィスビルが立ち並ぶ信義区の中心です。街全体が近代的に整備されており、夜間でも明るく、人通りが多いため安心して歩けます。
警備員や警察官の巡回も頻繁で、観光案内所も複数あるため、外国人でもトラブルが少なく快適に過ごせます。ショッピングやグルメを楽しみながら、安全に観光を楽しめるエリアです。


中正紀念堂

中正紀念堂は、台北市中心部にある歴史的建造物で、広大な敷地と美しい庭園が特徴です。昼夜を問わず観光客や現地の人々でにぎわい、常に人の目があるため治安面でも安心できます。
敷地内は清潔でゴミも少なく、警備員の常駐もあるため、一人旅でも安心して散策できます。特に早朝や夕方の散歩スポットとしても人気が高く、静かに台北の文化を感じたい人におすすめです。

永康街(東門駅周辺)

グルメスポットとして知られる永康街は、台北でも特に治安の良いエリアの一つです。東門駅からすぐの立地で、鼎泰豊本店をはじめとする有名飲食店が多く並び、観光客と現地の人々が混在する活気ある通りです。
エリア全体が整備されており、道も広く歩きやすいのが特徴。昼夜を問わず安全にショッピングやグルメを楽しむことができる場所として、女性の一人旅にも人気があります。

台湾・台北で治安が悪いとされる要注意エリア・スポット
台北市全体の治安は良好ですが、観光客が訪れる特定のエリアでは軽犯罪が報告されることがあります。以下では、旅行者が特に注意しておきたいエリアを具体的に紹介します。
台北駅付近

台北の交通の中心である台北駅は、多くの人が行き交うエリアであり、観光客にとっても出発点となる場所です。日中は比較的安全ですが、夜間はホームレスや酔客の姿も見られ、声かけや物乞いに遭遇することがあります。また、駅構内やバスターミナル周辺では、荷物を置き引きされるケースも報告されています。
特に、スーツケースを足元に置いたままスマートフォンに集中していると、知らないうちに荷物を狙われる危険があります。荷物は常に身体の近くに置き、リュックなども前に抱えるようにしましょう。
台北・万華(ワンファ)地区のナイトマーケット

台北でも歴史のあるエリア、万華地区はローカル感あふれる夜市やディープな雰囲気が人気です。特に「華西街夜市」などでは観光客も多く訪れますが、狭い路地に多くの人が密集するため、スリが発生しやすい環境です。
また、呼び込みをする露天商やマッサージ店の中には、料金を不当に請求するような業者もまれに存在します。夜遅くなると飲酒客や外国人バックパッカーも集まり、騒音や軽いトラブルが発生することもあります。
九份エリアでは混雑時のトラブル

人気観光地として知られる九份は、週末や祝日になると歩道が観光客でぎっしり埋まるほどの混雑になります。このような環境下では、押し合いによる転倒や、持ち物の落下、紛失などが発生しやすくなります。
特に細い階段道では、人の流れに逆らうとトラブルのもとになることもあり、身動きが取れなくなる場面も。さらに、夜景を撮影するために立ち止まる観光客と、進みたい人との間で小さな言い争いが起こることもあります。

台湾・台北で観光客が被害に遭いやすいトラブル

台湾・台北は比較的安全な都市ですが、観光客が慣れない土地で遭遇しやすいトラブルも存在します。特に多いのは、混雑した観光地でのスリや、交通ルールの違いによる接触事故などです。これらは未然に防ぐことが可能なケースが多いため、事前の知識と基本的な注意がけが大切です。
スリ・ひったくり
台北では重大犯罪の発生率は低いものの、夜市や観光名所など人が多く集まる場所ではスリが起こることがあります。特に士林夜市や龍山寺周辺、MRTの構内などでは、観光客がターゲットになりやすいとされています。
バッグのファスナーが開いたままだったり、財布を後ろポケットに入れていたりすると、知らぬ間に盗まれるリスクが高まります。また、ひったくりは原付バイクに乗ったまま狙ってくるケースが多く、道路脇でスマートフォンを操作している観光客が狙われることもあります。


交通ルールの違いによる接触事故
台湾では交通量が非常に多く、特に台北市内ではスクーターが縦横無尽に走っているため、日本とは異なる交通環境に驚く旅行者も少なくありません。歩行者優先の意識が日本よりも低く、信号が青でも右折してくる車両があるため、横断歩道を渡る際には十分な注意が必要です。
また、台北の交差点では右折レーンからの突然の車線変更や、歩道近くを高速で通り過ぎるスクーターとの接触事故も報告されています。特に夜間や雨天時は視界が悪く、事故リスクが高まるため、道路を渡る前には車やバイクの動きを確認し、安全を確認してから進むようにしましょう。
詐欺
台北では稀に、日本語を話せる人物による詐欺に遭うケースが報告されています。観光地周辺で「日本に住んでいたことがある」「日本人の友人がいる」と親しげに話しかけ、親密さを装って高額な商品を売りつけたり、寄付を装ってお金を要求したりする手口です。
中には「運勢を見てあげる」と言って簡単な占いを行い、後から高額な鑑定料を請求するケースもあります。日本語でのやり取りで安心してしまいがちですが、不審に感じたらきっぱり断ることが重要です。
ぼったくり
台北のタクシーは基本的にメーター制で良心的ですが、ごく一部に観光客を狙って不当な料金を請求する運転手も存在します。メーターを使わずに乗車後に高額な料金を請求されたり、遠回りしてメーターを高くするケースが代表例です。
また、夜市や土産物店で、表示価格がない商品を提示すると法外な金額を請求されることもあります。対策としては、乗車前に「メーターを使うか」を確認する、価格表示のある店で買い物をする、日本語を過度に話しかけてくる店員には注意することが有効です。

台湾・台北で被害にあわないための防犯対策

台北で安心して観光を楽しむためには、基本的な防犯意識を持つことが重要です。特に深夜の外出を控えたり、貴重品の管理を徹底すること、現地の交通ルールに注意することなどが挙げられます。また、トラブルを未然に防ぐために、外務省や日本台湾交流協会が発信する安全情報を事前にチェックしておくことも有効です。
人通りが少ない時間は出歩かない
台北は比較的治安が良好とはいえ、深夜帯や早朝の時間帯になると通行人が減り、犯罪リスクが高まります。特に人気の少ない裏通りや、公園、駅周辺では、不審者による声かけや軽犯罪が報告されることがあります。
女性の一人歩きは特に注意が必要で、目的地が遠い場合はタクシーやMRTを利用するなど、安全な移動手段を選ぶようにしましょう。
貴重品の管理はしっかりとおこなう
観光中に最も多いトラブルのひとつが、スリや置き引きによる貴重品の紛失です。財布やパスポート、スマートフォンなどの貴重品は、常に身体から離さずに管理しましょう。
ショルダーバッグやウエストポーチを前向きに装着する、ホテルのセーフティーボックスを活用するなどの対策が有効です。また、パスポートのコピーをあらかじめ用意しておけば、紛失時の手続きもスムーズです。
交通ルールをよく守って散策する
台湾では車両優先の意識が強く、日本と比べて歩行者の立場が弱い傾向にあります。信号無視や斜め横断は接触事故の原因になりやすく、事故が発生した場合でも外国人観光客は不利な立場になることもあります。
道路を渡る際は必ず信号を確認し、横断歩道を利用すること、右折してくる車両に特に注意を払うことが大切です。歩道にバイクが駐車されていることも多く、歩行中の視界が悪くなる場面もあるため、常に周囲に気を配る意識を持ちましょう。
公益財団法人 日本台湾交流協会の「安全の手引き」も確認
台湾渡航前には、公益財団法人 日本台湾交流協会が発行している「台湾安全の手引き」に目を通すことをおすすめします。この冊子には、台北を含む台湾各地での安全情報や、トラブル時の連絡先、日本人向けの医療機関情報などが詳しく記載されています。
特に、現地でのトラブル発生時にどう対応すべきか、警察や大使館への連絡方法、通訳を必要とする場合の対処法など、実用的な情報が多く掲載されています。同協会のウェブサイトからPDF形式でダウンロードできるため、出発前にスマートフォンやタブレットに保存しておくと便利です。
旅行保険に加入する
旅行保険に加入することは、台湾旅行中の万一のトラブルに備える最も基本的かつ有効な防犯対策です。スリや置き引き、盗難といった軽犯罪だけでなく、病気やケガ、フライト遅延、荷物の紛失といった予期せぬトラブルにも対応できます。
特に台湾は医療費が比較的高額になることがあるため、現地での通院や入院が必要になった場合でも、保険に加入していれば安心です。また、盗難や損害の被害に遭った場合でも、補償があることで経済的な負担を軽減できます。短期旅行でも加入は可能で、オンラインで簡単に申し込める点も利便性が高く、特に初めての台湾旅行には強くおすすめされます。
台湾・台北で犯罪の被害にあった時の連絡先

万が一、台北でスリや詐欺などの犯罪に巻き込まれた場合は、速やかに現地の警察や日本語対応可能な機関に連絡を取りましょう。台湾には日本人旅行者をサポートする体制が整っており、通報先や相談機関の連絡先を把握しておくことで、落ち着いて対応できます。
緊急通報先
台湾で緊急のトラブルに遭遇した場合、すぐに通報できるよう以下の番号を覚えておくことが重要です。警察への通報は「110」、消防や救急車の要請は「119」で、日本と同じ3桁で覚えやすく設定されています。通報時には、中国語が基本ですが、英語での対応も可能な場合があります。
通報内容は落ち着いて「場所」「状況」「必要な対応(警察か救急か)」を簡潔に伝えましょう。また、観光地によっては日本語が話せる警察官がいる交番もあるため、安心して相談できます。宿泊先のホテルフロントに相談するのも、通訳や通報の手助けを受ける有効な手段です。
公益財団法人 日本台湾交流協会
日本台湾交流協会は、台湾における日本の事実上の在外公館としての役割を果たしており、日本人旅行者がトラブルに遭った際の重要な相談窓口です。犯罪被害に遭った場合やパスポートの盗難、医療機関の紹介など、多岐にわたるサポートを提供しています。
台北市内には「日本台湾交流協会 台北事務所」があり、住所は「台北市松山区慶城街28号」、電話番号は「(02)2713-8000」です。営業時間は平日の9時〜17時30分までですが、緊急時は時間外でも対応可能な緊急連絡先が設けられています。渡航前に連絡先をメモしておき、万が一に備えておくと安心です。
まとめ
台湾・台北は治安が非常に良く、初めての海外旅行や女性の一人旅でも安心して訪れることができる人気の旅行先です。スリや交通ルールの違いに注意すれば、大きなトラブルに巻き込まれることはほとんどありません。
事前に基本的な防犯対策を身につけ、必要な連絡先を把握しておくことで、より安心して観光を楽しめます。親切な人々と魅力的な街並みが待つ台湾で、心に残る素敵な旅を体験してみてはいかがでしょうか。